がん
このページでは、基本的な人間ドックの検査によってどんながんが見つかるのかについて解説しています。
人間ドックの検査の目的「がんの発見」
人間ドックに組み込まれている検査項目は、さまざまな病気の発見を目的としています。その中でも特に重要視されているのががんでしょう。逆に、がんに罹っていないか、あるいは早期発見を目的のひとつとして人間ドックを申し込む人も少なくありません。
厚生労働省が公開している平成21年度・死因順位(総数)の資料によると、がん(悪性新生物)は1歳以上のすべての年齢階級において5位以内にランクインしています[注1]。遺伝的にがんが多いという人や、身近にがんに罹った人がいる人、年齢的に病気や老後を心配する人などが多く、やはりがんは常に身近な存在として私たちの日常の中にあるのです。
人間ドックでは、多くの病気の発見という目的の中でもがんについては早期発見が重大な目的といえます。早期発見することで治療成果が格段に上がるがんですが、もし見つけることができなければどんどん進行して最終的には命に係わることもあり得るのです。
[注1] 参照元:厚生労働省/平成21年度 第8表 死因順位別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合
人間ドックで見つかる代表的ながんとは
人間ドックの基本項目にある検査で見つけられるがんにはどんなものがあるでしょう。それぞれに解説していきます。
厚労省が指針で検診を勧める5つのがん
厚生労働省は平成20年3月31日付けで「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を定めており、その中で5つのがん検診を推奨することを発表しています。ここでは、厚労省が指針で検診を勧める5つのがんについて、それぞれ詳しく紹介していきます。
参照元:【PDF】厚生労働省健康局がん・疾病対策課「がん検診の種類について」
胃がん
胃は代表的な消化器です。食べたものを取り込み消化する働きを持っています。胃がんは胃の内壁(内側の粘膜)の細胞ががん化してできます。喫煙や偏った食事などが原因のひとつですが、ヘリコバクターピロリという菌の感染も原因とされています。進行するまで症状がほとんど出ないため気づいた時には進行しているケースも少なくありません。
大腸がん
大腸は消化吸収した食べ物の残りを便にする器官です。大腸がんは粘膜の細胞ががん化したものでゆっくり進行するのが特徴です。大腸壁の中へ入り込みながら拡がりやがて周囲の臓器に転移します。早期発見すれば寛解が見込める病気です。
肺がん
左右に1つずつある肺は、呼吸で酸素を取り込み二酸化炭素を排出するという、生きていくために重要な役割を担っている臓器です。肺がんは肺に含まれているさまざまな部位の細胞ががん化したもので、周囲の組織を食い荒らしながら拡がりやがて血液やリンパ液にのってさらに拡大していきます。特に喫煙する人、受動喫煙する人のリスクが高いといわれています。
子宮がん
子宮がんは女性特有のがんで、できた部位によって子宮頸がんと子宮体がんの2つがあります。子宮頸がんは子宮の入り口にできたもので、子宮体がんは子宮の内部にできたものです。それぞれに病気の形や進行は異なりますが、早期発見すれば予後の良い病気のひとつですので定期的な検査がとても重要です。
前立腺がん
前立腺がんは男性特有のがんで、正常な細胞がどんどん増殖を始めることでできます。リンパ液にのって転移することもあり、遠くの臓器に転移することもあります。進行が比較的遅いので早期発見すれば手術などで寛解する可能性が見込めます。
肝臓がん
肝臓は大きな臓器で栄養を取り込んで体に送り込んだり有害なものの解毒や排出を行っています。肝臓がんは肝臓だけでなくその周囲にある胆管なども含めさまざまな形でがん化します。初期の段階ではほとんど自覚症状がないため気づかないまま死亡することも多い病気です。既に症状が出ている場合は進行しているケースも多いので早期発見が重要です。女性より男性に多いことがわかっています。
乳がん
乳がんは乳房とその中にある組織にできるがんです。しこりに触れることで気づくこともありますが、転移性が高く近くにあるリンパ節をはじめ離れた臓器に転移して初めてわかることもあります。増加傾向にあり若い女性や男性にも見られるため油断していることも多いのが特徴です。