人間ドックと健康診断の違いは?
いわゆる普通の健康診断と、人間ドックの違いを分かりやすく一覧にしました。
※2018年2月、一部更新。
人間ドックと健康診断の違い
健康診断には、法律で毎年受けることが義務づけられている一般健康診断(一般健診)と、自分の意志で受ける人間ドックがあります。2008年からは、メタボリックシンドロームに特化して検査を行う特定健康診査(特定健診)が医療保険者に義務づけられました。
人間ドックと健康診断の違いを簡単に説明するなら、検査項目の数といえるでしょう。より詳細に健康状態を調べたければ人間ドックを、一般的に調べるなら健康診断を選ぶことになります。
それぞれの健康診断の検査内容との違いを比較してみましょう。
人間ドック・一般健診・特定健診の検査項目一覧表(例)
※施設や受診コースによって、異なります。詳しくは各施設にお問い合わせください。
検査項目 | 人間ドック | 一般健診 | 特定健診 | |
---|---|---|---|---|
身体計測 | 身長・体重・BMI | ◯ | ◯ | △ |
腹囲 | ◯ | ◯ | ◯ | |
血圧 | 血圧検査 | ◯ | ◯ | ◯ |
視力 | 視力検査 | ◯ | ◯ | × |
医師診察 | 問診・触診 | ◯ | ◯ | ◯ |
目 | 眼底・眼圧 | ◯ | × | × |
耳 | 聴力 | ◯ | ◯ | × |
呼吸器 | 胸部レントゲン | ◯ | ◯ | × |
呼吸機能検査 | ◯ | × | × | |
腎臓 | 尿素窒素・クレアチニン | ◯ | × | × |
尿蛋白 | ◯ | ◯ | ◯ | |
尿潜血 | ◯ | × | × | |
尿沈渣 | ◯ | × | × | |
糖代謝 | 血糖・尿糖 | ◯ | ◯ | ◯ |
HbA1c | ◯ | △ | △ | |
血球 | 白血球・赤血球・Hb・Ht | ◯ | ◯ | ◯ |
血小板 | ◯ | × | × | |
肝機能 | AST・ALT・γGTP | ◯ | ◯ | ◯ |
TBil・LDH・ALP・TP・Alb | ◯ | × | × | |
膵臓 | アミラーゼ | ◯ | × | × |
脂質代謝 | LDL-c・HDL-c・TG | ◯ | ◯ | ◯ |
尿酸 | 尿酸値 | ◯ | × | × |
副部長音波 | 肝臓・胆・膵臓・腎臓 | ◯ | × | × |
便 | 便潜血 | ◯ | × | × |
上部消化管 | 内視鏡・透視検査 | ◯ | × | × |
いつもの健康診断だけでは分からない病気が多い
メタボの検査に特化した特定健診は言うにおよばず、一般健診でも胸部レントゲン以外はガン検査がほとんど行われていないことがわかります。
国立がん研究センターでは、胃がん検査は上部内視鏡、大腸がんは下部内視鏡などのように検査方法のガイドラインを定めていますが、これらの検査が行われているのは人間ドックだけということになります。
検査項目が多いほど良いわけではありませんが、がん検査に対応していない一般健診や特定検診を受けているからと安心するのはNG。がんの発症は40代から増えはじめ、60代で発症率が急激にUPします。[注1]。会社で毎年健康診断(一般健診)を受けている人も、将来のために人間ドック受診を考えてみてはいかがでしょうか。
[注1]参照元:国立がん研究センター 最新がん統計
人間ドックと健康診断の法的義務と診断費用の違い
人間ドックと健康診断は、どちらも体に悪いところがないかチェックする検査ですが、法的義務があるかないかに決定的な違いがあります。
企業では労働安全衛生法第66条に基づき、従業員に対して医師による健康診断を行わなければならないことが義務付けられています。
従業員もこれに従い、全員が健康診断を受けなければなりません。
また、会社の健康診断は法的義務に基づいて行われているものなので、費用は全て会社が支払います。そのため、従業員は診断費用を負担する必要はありません。
対する人間ドックは、完全に任意の受診となっているため、受けるも受けないも個人の自由です。
そのぶん、申込から手続きもすべて自分で済ませなければいけないため、会社の健康診断よりも手間がかかります。
当然のことではありますが、診断費用はすべて自腹となります。
さらに、健康診断ということで保険も適用されないため、金銭的な負担はかなりのものです。
人間ドックを安く受けられる3つの病院
人間ドックは、健康診断に比べて診断項目も多く、かなり精密に検査するのでやむを得ないところもありますが、手間や費用の面で躊躇してしまう人が多いのも事実です。
そこで今回は、人間ドックのネックであるコストの問題を解消するべく、低価格で人間ドックを受診できるクリニックを3つピックアップしてみました。
1.東京人間ドッククリニック(旧名:わかすぎファミリークリニック)
現代人に多いがんやメタボリックシンドロームに焦点を当て、院長自らが検査を実施してくれるところが特徴のクリニックです。
経験、知識ともに豊富な院長が人間ドックの説明から重要な検査に至るまで一貫して携わってくれます。。
病院にありがちな待ち時間も少なく、検査自体も1~2時間程度で終了するので、忙しい方でも手軽に人間ドックを受診できます。
気になる費用はプランごとに異なってきますが、一般的な「標準人間ドック」を受けられる59,400円(税込)のプランに加え、コストを重視した「節約人間ドック」というプランもあり、こちらは48,600円(税込)と比較的リーズナブルな価格で検査を受けることができます。
また、人間ドックには胃カメラ検査が標準でついてきますが、苦痛が少ないことで知られる経鼻胃カメラを導入しているので、初めて胃カメラ検査を受ける方にも好評です。
- 東京人間ドッククリニック(旧名:わかすぎファミリークリニック)
問い合わせ先:03-5855-0590
2.イーク丸の内・表参道
女性に配慮したプランやコースを取り入れているところが特徴のクリニックです。
外来も女性専用で、スタッフも全員女性のみと徹底しており、女性が気軽に人間ドックを利用できる環境を整えています。
人間ドックのコースも「レディースドック」と称し、すべてのプランにおいて婦人科検査を採用。内診、子宮頸部細胞診、経膣超音波検査は共通で、プランによってはさらにハイリスクHPV検査や卵巣腫瘍マーカーにも対応しています。
また、ニーズに応じて当日結果説明のオプションを付けることも可能で、こちらはなんとランチ付となっており、女性にうれしいサービスが満載です。
費用はレディースドック・ライトで35,000円(税別)、レディースドック・スタンダード(当日結果説明あり)なら65,000円(税別)となっています。
- イーク丸の内・表参道 問い合わせ先:03-6447-1561
3.聖路加国際病院
1954年に日本で人間ドックを実施したことで知られるクリニックです。[注1]
その豊富な実績と長年培った技術力に定評があるのはもちろん、人間ドックに使用する検査機器も専門性の高いものが完備されており、充実した検査を受けることが可能です。
また、人間ドックのコースが数多くラインナップされているところも魅力のひとつで、日帰りドックコースのほかに国内ではめずらしい宿泊ドックも採用しています。
最短では2日間、最長だと1週間の徹底検査にも対応しており、特に1週間ドックは通常の人間ドックにはない頭部のMRI・MRA検査や心臓超音波検査、24時間蓄尿(クレアチニン・クリアランステスト)などより精密な検査も実施してもらえます。
なお、費用は日帰りドック(胃X線バリウムコース)で74,800円(税込)、宿泊ドック(2日間ドック)だと209,000円(税込)の費用がかかります。
- 聖路加国際病院 問い合わせ先:03-5550-7081
[注1]参照元:日本人間ドック学会50年の歴史[pdf]
人間ドックでは病気や身体のサインを早期発見できる
会社の健康診断は基本的な検査しか行いませんが、東京人間ドッククリニックの場合には、便潜血に加え、胸部レントゲンや腹部エコー、胃カメラなどの精密検査も実施するため、各種がんの診断に強く、重病の早期発見、早期治療に役立ちます。
また、無料オプションとして女性に嬉しい乳がん検診、喫煙者はとくにチェックしておきたい肺機能や肺年齢のチェックを行ない喫煙者向けの禁煙指導を行っているクリニックもあります
さらに、メタボリックシンドローム予防のためのダイエットカウンセリングを実施したり、病気の有無だけでなく、現代人に多い生活習慣病の予防も手厚くサポートしてくれるサービスは、会社の健康診断にはないものです。
健康診断に比べると診断費用が実費というのはやや痛いところですが、病気を見過ごして将来的に長期治療を余儀なくされるのならば、人間ドックを受診して早めに病の種をつみ取っておいた方が長い目で見るとコストパフォーマンスが良いと言えるでしょう。