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乳がん

乳がんは問診・視触診だけでは早期発見がむずかしい病気です。こちらでは、乳がん検診について解説しています。

乳がん検診とは

乳がん検診とは、マンモグラフィや超音波(エコー)を用いて乳房に異常がないかを診る検査のこと。ここでは、乳がんの発見に必要な検診について説明します。

マンモグラフィ検診

マンモグラフィ検診とは、乳房専用のX線撮影を用いた検査方法。乳がんをはじめとする乳房の病気を見つけられるため、一般的な検査方法として利用されています。視触診では発見できなかった小さなしこりや石灰化だけでなく、がん組織の変化を確認することが可能。乳がんの早期発見につながる心強い味方となってくれます。

マンモグラフィ検診のメリット・デメリット

メリット

  • 視触診では確認できない小さなしこりを発見できる
  • 石灰化の段階で発見できれば、寛解できる可能性が高くなる
  • レントゲン写真との比較が簡単

デメリット

  • 妊娠または授乳中の女性は受診できない
  • 20代の女性は乳腺とがん(石灰化・しこり)の区別がつきにくいため、検査で判断できない可能性がある
  • 人によっては検査時に痛みを感じることがある

乳がん検診は痛いってホント?

マンモグラフィ検診では、レントゲン撮影時に乳房を圧迫板ではさむ必要があります。痛みを感じる度合いには個人差がありますが、大抵の人は受診前に不安を感じているようです。

しかし、乳房は厚みがあり立体的なので、そのままの状態では正しく撮影できません。引きのばさずに撮影すると乳腺・脂肪・血管などが重なってしまい、腫瘍が写し出されない可能性があります。

的確な診断のためにも、正しい方法で撮影することが重要。また、圧迫によってX線の被ばく量を減らせる効果もあります。

乳がん検診が受けられない人は?

検査時のX線被ばく量はわずかなので、身体へのリスクはほとんどありません。しかし、妊娠の疑いがある人や妊娠中の人は検査を受けられない可能性があるので、事前に申し出ておきましょう。

超音波検診(エコー)

乳房に超音波をあてて視触診では判別しづらいしこりを発見する超音波検診(エコー)。がんは黒く、乳腺は白く描出されるため、比較的乳がんを発見しやすい検診です。乳腺が発達している若い女性や妊娠中でも受けられます。

超音波検診のメリット・デメリット

メリット

  • X線を使用しないため被ばくがない
  • 圧迫しないため痛みを感じない
  • 妊娠中の人や乳腺が発達している若い女性でも検査を受けられる
  • 検査結果をその場で確認できる

デメリット

  • 石灰化が判断しづらい
  • 検査を行なう医師や検査技師の能力・技量が影響する

妊娠中の人や若い女性を対象とする乳がん検診

超音波検査は、X線を使わずに検査を行なうため、被ばくを避けたい妊娠中の女性も受けられます。また、乳腺の影響を受けずに診断できるため、乳腺が発達している20~30歳の女性も対象に。マンモグラフィ検診が受けられない人が乳がんを発見するのに適した方法と言えます。

医師の技量が検査結果を左右する

しかし、超音波検査は担当する医師の能力が影響する方法。症状を確認できなかったり、的確に扱えていなかったりした場合は、リスクを見落としてしまう可能性が高まります。的確に判断できる検査技師のスキルが重要となるのです。

マンモグラフィ検診だけではミスジャッジも?エコーの併用がおすすめ

乳がんは検診を受けることで発見できる病気だと言われていますが、なかにはしこりや石灰化が見つかりにくい体質の人もいます。

その場合はマンモグラフィ検診だけでは見つけられないため、超音波検診も一緒に受けるのがおすすめ。乳がんを発見できる可能性がより高まります。

40歳以上の女性は乳がんを見つけにくい?

近年では、がんを見つけにくい体質があることが分かってきました。その体質は、40歳以上の女性だそうです。

参照元:人間ドックなび/デンスブレストとは|40歳以上の日本人女性の約4割が該当

日本人女性に多い「高濃度乳房」

日本人女性が乳がんのリスクを見逃す原因には、「高濃度乳房」という体質が関係しています。

高濃度乳房とは、乳腺の密度が全体的に高い体質のこと。マンモグラフィでは、脂肪は黒く、乳腺は白く写るため、乳腺の密度が高いと乳房全体が白く写りだされます。

ところが、乳がんの原因となる石灰化も白く写るため、高濃度乳房だと乳腺か石灰化が判別しづらい状態に。そのため、乳がんを見逃してしまうのです。

未来の自分のために、マンモグラフィ検診と超音波検診を受けよう

定期的に乳がん検診を受けていても、様々な理由でがんの発見が遅れる場合があります。

最近では小林麻央さんの乳がん検診でのミスジャッジが話題となりました。マンモグラフィ検診だけでは乳がんを見逃してしまう可能性が高いので、超音波検診も一緒に受けるようにしてくださいね。

乳がんの予防・早期発見

乳がんは毎日の生活習慣や定期的な検診を受けることで予防・早期発見できます。他人事だと思わず、日頃から意識してみましょう。

そもそも乳がんとはどんな病気か

乳がんとは、乳房のなかの組織に発生するがんのことです。昔は欧米人に多い病気と言われていましたが、食生活やライフスタイルの変化に伴い、日本女性も発症する人が増えてきたと言われています。国立がん研究センターが公表している2019年度の調査資料によると、女性が生涯のうちに乳がんを発症する確率は9人に1人[注1]の割合とのことです。

[注1]参照元:国立がん研究センター がん情報サービス「3)がんに罹患する確率~累積罹患リスク|累積がん罹患リスク(2019年データに基づく)」

原因は乳腺に発生する悪性の腫瘍

乳がんの原因となるのは、乳腺に発生する悪性の腫瘍です。乳がんは進行が遅いため、なかなか症状を実感しにくいもの。放置すると乳腺の外にがん細胞が増殖してしまい、リンパ管や血液を通って全身に広がってしまうのです。

どんな症状が出るの?

乳がんになりやすい部位や主な症状を知っておくと、早期発見につながります。

乳がんを発症しやすいのは、乳腺が多い乳房の外側上部や内側上部。わきの下にしこりができていたり皮膚がくぼんでいたりすると、乳がんの疑いがあります。また、乳頭から血のような分泌物が出ている、乳頭の陥没・ただれ・変形なども乳がんの症状。「おかしいな」と感じたら、すぐに医師に相談しましょう。

痛みはあるの?

乳がんを発症して初期の期間はしこりが2cm以下と小さいため、痛みをほとんど感じません。しこりが徐々に大きくなっていくと、ただれや変形といった症状が現れ、人によっては痛いと感じるようになります。

他の臓器に転移して分かることも

乳がんはしこりに触れて気づく場合もありますが、他の臓器に転移して初めて発症が確認できたケースもあります。特に検査を受けていない若い女性に多く、気づいたときには遅かった、という事態になる可能性もあるのです。

乳がん予防のためにできることは?

乳がんは生活習慣の改善で予防できる可能性があります。

肥満に気を付ける

生活習慣病の原因にもなる肥満は、乳がんの発症リスクを高めます。特に閉経後の女性の肥満は、乳がんへの危険性を高めてしまうもの。正常なBMI指標をチェックしておき、体型維持に努めましょう。

禁煙

タバコを吸う人は、吸わない人と比べて乳がんの発症リスクが上昇します。

また、自分がタバコを吸っていなくても、副流煙を吸ってしまうことでリスクが高まります。

ストレス

ストレスも乳がんの発症に影響を与える要因のひとつ。仕事や友人関係などでストレスを溜めないよう、こまめな発散を心がけましょう。軽い運動を楽しむ、打ち込める趣味を見つけるなど、自分なりのストレス解消法を見つけてください。

アルコールを避ける

1日に2~5杯お酒を飲む女性は、お酒を飲まない女性と比べて乳がんになるリスクが高まります。ビールなら中ジョッキ1杯、日本酒なら1合、ワインならワイングラス2杯程度が望ましいでしょう。

しかし、飲む量が増えれば増えるほど乳がんの発症リスクが高まるのも事実。毎日飲みすぎないよう、休肝日をつくることも大切です。

適度な運動を心がける

定期的な運動で乳がんの発生や死亡の予防につながることが分かっています。軽いウォーキングをこまめに行ない、運動不足を解消しましょう。

参照元:乳癌診療ガイドライン 運動は乳癌発症リスクを減少させるか (疫学.予防・リスク―生活習慣と環境因子・ID41260)

乳がんの早期発見の重要性

発見が遅れるとがん細胞が全身に転移してしまう

乳がんを放置してしまうと、がん細胞が増殖してリンパ管や血管へ移り、やがて全身をめぐります。体の様々な臓器や組織へ転移して症状が進行すると、手遅れとなってしまうのです。

早期発見・治療で対処できる病気

しかし、乳がんは検診を受けて早期に発見・治療できる病気です。全がん協加盟施設生存率協同調査が2011年~2013年の診断症例を対象として行った調査によると、女性の乳がんの全症例における5年生存率(実例生存率)は90.5%にも上ります[注1]。例え発症していたとしても、しっかり治療を行なえば命を落とす事態を避けることができます。

[注1]参照元:全がん協加盟施設生存率協同調査「全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率(2011-2013年診断症例)」

定期検診を受けて乳がんから身を守ろう

乳がんから命を守るために、少しでも早く発見して適切な治療を受けることが重要です。

乳がんは女性なら誰もが発症する可能性のある病気。「自分は大丈夫」と思わず、定期的な乳がん検診を受けて早期発見に努めましょう。

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